自己点検・自己評価

自己点検・自己評価の公表について(総括)

令和6年5月
KCS鹿児島情報専門学校
校長 宮脇 竜一

当校における自己評価の取り組みについて

令和5年度の自己評価の結果を公表いたしますので,本校における教育サービスの現状を正しくご理解いただきますようお願いいたします。また,本校の改善に資するためのご助言がいただけましたら,幸甚に存じます。

令和5年度自己点検・自己評価の結果について

教育理念・目標

本校は,電子開発学園の一員として,「IT人材育成に関する国策の推進役を担うとともに,IT企業が求める実践的なIT人材を育成することにより,情報化社会の進展に寄与する」を変わらぬ理念として堅持しています。

理念・目的・育成人材像の見直しは,カリキュラム検討委員会で定期的に時代の変化・ニーズに対応すべく,学科構成,教育環境,教育内容など,ハード面,ソフト面の両方において適宜見直しを行っています。

変化する社会や学生のニーズを考慮し教育改革を図り続けるには学校だけでは限界があります。本校では,電子開発グループ内のIT企業と連携し,ITに係る職業実践専門教育に求められる業界ニーズを把握し,専門職業人を育成するための教材を共同で開発し,その成果を教育現場に反映できることが,最大の強みとなっています。

本校のカリキュラムは情報処理推進機構(IPA)が提供するIT人材育成のための「iコンピデンシディクショナリー(iCD)」に準拠すべく毎年見直しを図り改善しています(令和元年4月にはiCD Gold☆の認証を得ました)。

本校の教育課程は、学園のカリキュラム検討委員会が作成したモデルを基本としつつ、教育課程編成会議における地域IT機関や企業の委員の意見を踏まえたものになっています。令和5年度もITスキルをベースに各専攻の専門科目を設定し、高度なIT人材育成に取り組みました。システム専攻の設計書などのドキュメントは、委員から高い評価を得ています。

学校運営

学校運営の基本方針は、学園グループ10校が共通した意思決定をまず行うことで、学校単独の偏った意思決定を避け、時代に即した全国的に共通する意思決定を行い、そのうえで地域性を考慮した学校運営を行っています。

令和5年度は新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されましたが、感染拡大を防止するための対策は引き続き取り組んでいます。また、5類感染症移行後は、学習活動や学校行事の縮小を徐々に解除し、勉強以外の教育活動(各種式典や学園祭、クラブ活動やレクリエーションなど)についてもコロナ前の状況に戻しています。

今年度は、入学者数、在籍者数ともに過去最高とったこともあり、昨年度末から着工していた西側別館(2階建て4教室)を増築し、運用を開始しました。また、別館に水回りがないことから本館2階トイレを拡張し、理事長室および進路指導室の改修を行いました。

教育活動

教育内容は,教育課程編成会議の中で企業や有識者の意見を伺いながら,新技術に対応したカリキュラムの検討,見直しのほか,業界ニーズや学生ニーズの分析・検討を行い,修業年限に応じたレベルを設定しています。

カリキュラムは,ITの基礎学習の効率を高めながら,専攻制により多様化した学習ニーズに応える構成になっています。ITの基礎教育を終えてから専攻分野を決定することで,学生が自身の興味や将来像を理解してから専攻を決定できるようになっています。

教育内容の評価改善活動の一環で,学生から科目の修了時にアンケートを収集し,アンケート結果や科目試験の結果に基づいた報告書の作成,報告会を実施し,授業の評価,改善に繋げる活動を続けています。

情報システム専門科については,提携企業講師による職業実践型授業を取り入れ,学生主体の授業を行い,授業終了後のアンケートにおいても高い評価を得ています。昨年度はオンラインで実施しましたが,本年度はコロナ前の状況に戻し,東京の提携企業の技術者が対面で直接指導する形態で実施しました。技術者がきめ細かく直接指導することで,学生の緊張感とモチベーションを引き出し,これまで以上の成果を得ることができました。他学科においてもこのような実践型授業を増やしていきたいと考えています。

本年度から,鹿児島校を合わせた九州4校共同で,東京ゲームショウに出展を開始しました。約4ヶ月の製作期間を経て,6作品から2作品を選び展示しました。また,展示作品の制作者各1名計2名を,展示作品の説明員として派遣し,多くの企業様や一般来場者にプレイしていただけました。企業様からは作品に対するアドバイス・名刺交換をさせていただき,多くの求人をいただきました。ゲーム・CG専攻学生のモチベーションや制作意欲を引き出すためにも,次年度以降も引き続き出展する計画です。

先輩後輩の関係づくりを目的としたクラブ活動は,感染防止に配慮しながらコロナ禍以前の状況に戻して取り組みました。軟式野球部は,専修学校鹿児島県大会で優勝し,岡山県倉敷市で行われた専修学校全国大会に出場しました。1回戦で強豪と対戦し,善戦しましたが残念ながら敗退しました。専修学校体育大会ではバトミントン部が団体優勝し,卓球部は個人2位の成績を納め,九州ブロック福岡大会に出場しました。交通費を助成するなど学生負担の軽減を図りました。

学修成果

教育実施計画書及び就職指導計画書において教育活動の方針と目標を定め、それに基づいて教育活動を行っています。

1進級率
進級率内訳
進級率 91.7%
退学者 29名
留年 4名
休学 4名
退学者内訳
1年生 16名
2年生 10名
3年生 3名
4年生 0名

主な退学理由は次の通りです。

  • 心神耗弱,疾患

  • 学校不適応,意欲低下 ・・・ 不登校,引きこもり等

  • 学力不振

  • 北海道情報大学卒業による退学

退学者の共通する特徴として以下が挙げられます。

  • 何らかの持病や障碍をもっている
  • 高校在籍時から欠席が多い
  • 安易な進路選択からの入学,将来の目標がない
  • 基礎学力が不足している
  • 交友関係が築けない

本校は,学生に寄り添い信頼関係に基づくきめ細やかな学生指導を特徴としています。また,教務部長を長とした学科長・担任・教育カウンセラーから構成するチームによる包括的な指導体制を構築し,学生の将来を考えた学生本位の指導に取り組んでいます。

  • 担任のみならず複数の科目担当教員による見守り
  • 保護者との連携指導
  • スクールカウンセラーによるカウンセリング
  • QUアンケートの活用

不登校歴がある学生は、基礎学力が高い者でも、ちょっとしたきっかけから不登校が再発するなど指導が難しい事例も見受けられました。

学校不適応や学力不振に起因する意欲低下は退学に直結するため,担任は細目に面談し異状を早めに見つけ,スクールカウンセラーのアドバイスを受けながら,心理面のケアを含めて対応する体制ができ上がっています。しかし,学生指導による担任負担が年々大きくなっているのが現状です。

2資格取得

国家試験である情報処理技術者試験を始めとした各種検定試験にチャレンジし、合格することで自信を育む教育を推進しています。

令和5年度は各試験とも多くの合格者を輩出することができました。

令和5年度 国家試験 合格状況
ITパスポート試験 4
基本情報技術者試験 126
情報セキュリティマネジメント試験 46
応用情報技術者試験 26
情報処理安全確保支援士試験 5
データベーススペシャリスト試験 2

これらの成績は県内ではダントツであるのはもちろん,応用情報技術者や情報処理安全確保支援士等の難易度の高い試験の合格者数は,九州内の専門学校の中で1番の成果を残すことができました。

何度跳ね返されても諦めることなく粘り強くチェレンジして合格し,難易度の高い試験に合格することで大きな自信を得る者が多数出たことは,評価に値すると考えます。

国家試験は難易度が高く誰もが合格できるという試験ではないので,学生の状況に合わせてベンダー資格や職業教育・キャリア教育財団の情報検定等にもチャレンジさせて,学生全員に何らかの資格を取得させることを目標にしています。

令和5年度 各種検定・ベンダー試験 合格状況
情報検定 171
Microsoft Office Specialist 36
CG-ARTS 検定 24
情報セキュリティ認定CSBM 143
Deep Learning for Generalist 6
Java Programmer SE Bronze 38
Java Programmer SE Silver 6

今後も習熟度に応じた目標設定を行い,努力を継続し目標を達成することで自信を育む教育を継続します。

3就職

コロナ禍を経て,オンラインでのガイダンス・入社試験が定着しました。就職活動は概ね順調に推移し,就職希望者全員が内定を得ることができました。

  • 毎年開催している学校主催合同企業説明会は,別館ができ4教室増えたこともあり,校内で県外・県内企業を一堂に会して1日で実施しました。
  • 県内・県外共にオンライン説明会・オンライン面接を活用した企業が多くあり,オンラインに対応した就職指導を行いました。
  • 例年より就職指導開始時期を早めたこと,人手不足による売り手市場により,就職内定率は順調に推移しました。
  • 例年より県外就職率が高まりました。首都圏にある企業の動きが早く活発であり,県内企業の採用活動が遅いことから県外企業への就職割合が75%から80%に上昇しました。現在,県内企業に働きかけ,鹿児島県主催合同企業説明会・校内合同企業説明会の早期化を進めています。
  • 就職活動の早期化に対応するため,就職活動キックオフを7月に実施しました。履歴書作成や面接の指導も既に実施しています。
  • 学生の就職に対する意識も例年以上に高くなっており,会社説明会に積極的に参加しています。

今後も就職指導の時間のみならず,日々の授業の中でキャリア教育を充実させ,社会人基礎力を育む活動を行い,外部コンテストで成果を出したり様々な外部活動に参加したりして自信を育む取り組みにより,主体的に就職活動ができる学生を育て,就職の質を更に高めていきます。

学生支援

本校では学生一人に対し,クラス担任や就職指導担当などが連携して学習・進路をサポートする体制をとり,更に保護者と連携して指導しています。クラス担任による学生相談の他にハラスメント相談窓口や専任カウンセラーによる学生相談を実施しています。

経済的支援体制は,入学対象者に対しては奨学金制度をはじめとした独自の学費支援制度を設けています。2年目以降については学校独自の奨学生制度がないため,日本学生支援機構等からの貸与奨学金を勧めたり,民間教育ローンの在学中の利息負担を肩代わりしたり,学費の分納や延納の相談に応じています。

日本学生支援機構の貸与奨学生には卒業後に返済が滞ることがないように,申込・資格確認・返還手続の各タイミングで,返還の意義や就職することの重要性等を繰返し指導しています。

令和2年度から始まった高等教育段階の教育費負担軽減新制度(修学支援新制度)において,本校は学費減免の対象校として認定され,2.5割(昨年度並み)を超える在校生がこの制度を活用しています。修学支援新制度では,対象者は定期的に学業成績評価を受け,学科ごとに成績下位1/4に2回連続して属していると判定されると支援が打ち切られることになっています。支援対象者が好成績を維持できるようにしっかり意識付けを行い,支援打ち切りにより退学を選択せざるを得ない状況にならないようにサポートしています。

教育環境

施設・設備は,教育上の必要性に十分対応できるよう整備しています。本年度は,5月から別館4教室の運用を開始しました。これにより,実習用1教室と座学用3教室が増え,実習用10教室と座学用7教室の体制になりました。実習教室設置パソコンは合計425台となっています。また,次年度も学生数増加が確定しているため,座学用1教室を実習室に転換し,来年度4月からの運用を目標に,新たに48台のパソコンを整備中です。

学生募集広報については,単年度ごとの募集活動計画書を策定し,入学者獲得のための活動を展開しています。広報ツールの出稿内容や説明表現は,その真実性,明瞭性,公平性,法令遵守等について,担当する広報企画室,入試課が十分な配慮を行うとともに,入学希望者に十分な判断材料を提供できるよう実施しています。

就職実績や資格取得実績等の教育成果のデータを蓄積し,入学案内パンフレットやホームページ等に正直に掲載しています。特に,入学希望者に対しては最新の就職内定状況や資格取得状況をタイムリーに提供し,事実を正確に伝えています。入学希望者や志願者,その保護者からの問い合わせや相談に対しては,オープンキャンパスや学校説明会,個別相談等で適切な対応ができるよう体制を整えています。オープンキャンパスでは,学生スタッフが直接来校者と語らう場面を設け,正直に学校生活を伝えるようにしています。このような取り組みにより,オープンキャンパス参加者の満足度が高いことをアンケートで確認しており,参加者の志願率の高さに結びついています。

昨年度は定員充足により第1希望の学科に入学できなかった学生が大学併修科、情報システム専門科でいた状況を踏まえ、今年度は入学定員の見直しを行いました。

大学併修科(4年課程)は40名から60名に、情報システム専門科(3年課程)は60名から70名にそれぞれ増加させ、情報メディア科(2年課程)は35名から20名に減少させ、入学定員は135名から150名に増加しています。この結果、今年度は定員充足により第1希望の学科に入学できなかった学生はおりません。

令和4年度国家試験(応用・高度)合格者数九州No.1をアピールし、本校の教育実績が評価された結果、令和6年度入学生の志願者数は183名と過去最多となり、入学者数、在籍者数も最多となる見込みです。

ただし、近年の高校生の進学状況を見ると大学人気が圧倒的であり、専門学校としては楽観視できる状況ではありません。引き続き本校の特色や高い教育実績をアピールし入学生を確保してまいります。

入学選考においては例年同様、面接や適性検査、調査書を基に厳格な入試を実施しております。

令和6年度入学生の募集動向は次のとおりです。

本文を入力してください
  • 自校内行事への参加者は延べ人数、実人数ともに昨年を上回り好調でした。
  • 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、来校に誘導する方が得策と考え、オープンキャンパスのライブ配信は実施しませんでした。
  • オープンキャンパスへの参加時期の動向は少しずつ早い時期にシフトしています。
  • 自校内行事参加者からの志願歩留りは昨年度と変わらず高い水準でした。
  • 指定校推薦の出願期限を年内から第1回選考までと変更しましたが、変更に伴う影響はありませんでした。
  • 大学併修科(4年課程)、情報システム専門科(3年課程)の人気が強く、両学科が定員充足したのに対し、情報メディア科(2年課程)は定員充足できませんでした。
  • 各入試区分(AO、指定校、自己推薦、一般)の比率は昨年度と大きな変化はありませんでした。
  • 志願者の女子比率がやや増加しました。
  • 他校との併願者が増加しましたが、併願者の入学辞退率は減少しました。
  • 新卒と既卒の割合に大きな変化はありませんでした。
  • 新卒者の工業系学科からの進学が増加したのが目立ちました。
  • KCS奨学生試験の受験者数は若干減少しました。

近年の募集動向を振り返ると3年課程、4年課程の人気が高く、2年課程の募集が減少しています。職員数を増やすことも難しいため、効率的にクラス運営をするために2年課程を廃止し、3年課程、4年課程に注力することも視野に入れております。

来年度はKCS4校合同での募集活動を強化し、IT教育におけるKCSのブランドを訴求してまいります。

財務

IT人気の復活もあり,財務状況は,帰属収支差額比率がプラスとなっており,財務基盤は安定していると言えます。

18歳人口の減少と大学進学率の増加に伴い,専門学校への進学減少等が予想され,収益環境も長期的には厳しくなる事が予測されます。また物価高騰による光熱費や人件費、輸送コスト,更には消費税負担が増えているので,固定費の削減・経費節約に更に努めつつ,教育の質の低下をさせないよう一層取り組んで参ります。

なお、学納金については、シンプルかつわかり易くするために、令和7年度入学生から次のとおり見直しを実施します。

  • 全学科の入学金を統一する。
  • 学費の科目を授業料、施設整備費の2種類にまとめる。(従来は5種類)

法令等の遵守

電子開発学園グループ全校において法令や専修学校設置基準等に準拠した規程・規約等を制定・運用し、監査により運用状況の適切性が確認されています。

  • 個人情報保護に関わるトラブルは絶対に出してはならないので,今後も教職員に対する教育を徹底し,プライバーシーマネジメントシステムを維持します。また,学生についても,授業で情報モラル教育や年金、ライフプランセミナーなどを実施し啓蒙を図っています。
    令和5年度は、情報セキュリティや学生のSNSトラブル等は発生していません。
  • セクハラ・アカハラ・パワハラ等は絶対に出さないように、ハラスメントガイドラインを設け、活動しています。
  • 働き方改革関連法への対応は、電子開発学園グループ全体として行っています。
  • 健康増進法への対応として、学内全面禁煙を実施し定着しています。

本校における自己評価の詳細については、本校内で詳細報告書を公開しています。閲覧ご希望の方は、来校日時を予約の上、ご来校ください。

以上